飛行機の機体のことを「機材」と呼びます。運航便によって機材が異なります。日本の航空会社の主力機材はボーイング787やボーイング737など。また、エアバスA320やA350も大活躍しています。
飛行機旅行は、機材によって乗り心地が異なります。単通路の中型機だと天井が低く、なんとなく圧迫感がありますが、大型機だと天井も広く通路も二つあり、開放感があります。
この項目では、日本で見かける飛行機の機材の種類について、わかりやすくご案内します。
ボーイング787
米ボーイング社の最新機種。座席数200~300の中型機ながら航続距離が長いのが特徴です。JAL、ANAをはじめとして、世界の大手航空会社で導入されています。
機内の気圧変化が他の機材に比べてやや緩いので、激しい耳ツンが起こりにくいという特徴があります。また、複合材料を使っているため、機体が腐食しにくく、室内の加湿が可能です。それまでの飛行機は機内の湿度がほぼゼロでしたが、787では20~30度程度に維持できます。気圧変化が少なく、湿度が高いため、客室内は快適です。
787は、通路が2本ある「ワイドボディ機」です。天井も高く、室内は開放感があります。座席配置はエコノミークラスで3列+3列+3列の計9列が一般的。ただし、JALの国際線では2列+4列+2列の計8列になっています。国際線のボーイング787でエコノミークラスに乗るなら、JALがゆったりしているでしょう。
「787-8」(789)と「787-9」(789)の2つのタイプがあります。標準形が「787-8」です。「787-9」は胴長タイプで、座席数が少し多めです。
スタイルがやや寸胴で、エンジンが大きいのが特徴です。
ボーイング777
ボーイングの大型機です。最大500人以上を運べるうえに、長距離も飛ぶことが可能。日本ではJALとANAが導入し、幹線・準幹線といった利用者の多い区間で使用されてきました。
777は、通路が2本ある「ワイドボディ機」です。天井も高めで、機内は開放感があります。エコノミークラスの座席配置は国内線が3列+4列+3列の横10列が標準です。国際線では航空会社によって横10列と横9列があります。JAL国際線は横9列が基本ですが、ANA国際線は横10列の機材もあります。
「777-200」、「777-200ER」、「777-200LR」、「777-300」、「777-300ER」の5種類があります。「777-300」シリーズは、「777-200」シリーズより全長が長くなっています。「ER」は航続距離が長いタイプで、「LR」はさらに航続距離が長いタイプです。
「777-200LR」は世界最長の17,446 kmを飛ぶことができますが、日本の航空会社では導入されていません。
一時代を画した777ですが、近年は退役が進み、JALでは2023年に国内線から姿を消しています。
スタイルがシュッとしていて、前後に長いのが特徴です。間隔をあけてドアが4つあります。
ボーイング767
ボーイング社の中長距離タイプの中型機です。200人~300人程度の座席定員で、太平洋も渡りきれるスペックを持っている万能型旅客機として広く導入されています。
767は通路が2本ありますが、幅がやや狭い「セミワイドボディ機」です。エコノミークラスの座席配置は2列+3列+2列の横7列が基本。ごく一部に横8列を詰め込んだ機材もありますが、一般的ではありません。
「767-200」、「767-200ER」、「767-300」、「767-300ER」、「767-400ER」の5種類があります。「767-300」シリーズは、「767-200」シリーズより全長が長くなっています。「ER」は航続距離が長いタイプです。「767-400ER」は、さらに胴長で、航続距離も長い、長距離洋上飛行用の機材です。
日本国内では、JALとANAが「767-300」、「767-300ER」を幅広く運用しています。また、エアドゥも「767-300」を導入しています。
羽根の上の二つのドアが特徴です。
ボーイング737
ボーイング社の小型機です。座席数は150~170席程度。もともとは1967年代に開発された古い機種ですが、改良が重ねられ、現在運航しているのは1997年以降に製造された「NG」(第3世代)と、2017年以降に製造された「MAX」(第4世代)と呼ばれるタイプです。
737は、全世界で幅広く使われており、日本でもJALやANAの地方路線や、スカイマークなどの中堅航空会社、さらにはLCCでも活躍しています。
737は、通路が1本しかない「単通路機」です。エコノミークラスの座席配置は3列+3列の計6列で、ほぼ全世界共通です。LCCでは、シートピッチを縮めて詰め込んでいます。
さまざまな派生機種がありますが、現在日本で使われているのは「737-400」「737-500」「737-700」「737-700ER」「737-800」です。小型の機体にそそり立つ羽根が特徴です。
ボーイング747
「ジャンボジェット」の愛称で親しまれた、ボーイング社の超大型機です。旅客機としては、日本の航空会社からは引退しました。
かつて日本で使用されていたのは、おもに「747-400」ですが、最新型は「747-8」です。日本の航空会社は導入していませんが、海外では運航している航空会社もあります。
日本ではルフトハンザが羽田路線に「747-8」を使用しています。4つのエンジン、一部二階建ての機体が特徴です。
エアバスA350
エアバス社の新世代旅客機で、ボーイング787の対抗機種となる中型機です。気圧変化の少なさや、客室加湿機能などを備えているのは787と同じです。
通路が2つある「ワイドボディ機」で、787よりも12センチほど機体幅が広くなっています。シートは787と同じ横9列が標準ですので、ややゆったりしています。
おもに「A350-900」と「A350-1000」の2タイプがあり、「A350-1000」が胴長タイプです。
日本の航空会社ではJALが2019年9月より導入し、主力機となりつつあります。JALの350-900の座席数は3クラス369席です。
エアバスA320
エアバス社の中距離用の小型機です。ボーイング737の対抗機種で、通算8000機以上が生産されているベストセラー機です。日本でもANAのほか、ピーチやジェットスターといったLCCでも使われており、おなじみの機種です。
中央に通路が1本あるだけの「単通路機」で、通路を挟んで3席+3席の配置です。横配置はどの航空会社も同じですが、LCCでは縦の配置を詰め込んでいて、座席の前後間隔が狭い場合があります。定員は160~180人程度です。
第一世代が「A320ceo」、第二世代「A320neo」といいます。「A320ceo」には、「A320」、長胴型の「A321」、短胴型の「A319」と「A318」の4機種があります。「A320neo」には、「A319neo」、「A320neo」、「A321neo」があります。
日本ではANAが「A320neo」と「A321neo」などを保有し、JALも「A321neo」を導入予定です。LCCでは、ピーチが「A320」系列で機種を揃えています。
エアバスA380
エアバス社が開発した、オール2階建ての超大型機です。エミレーツ航空仕様では、世界最大の615席を記録しています。
1階席、2階席とも通路が2つある「ワイドボディ機」です。エコノミークラスの座席配置は、1階席が3列+4列+3列の横10列、2階席が2列+4列+2列の横8列が標準的です。
現在運航しているのは「A380-800」のみです。日本の航空会社ではANAがハワイ路線で3機導入しています。海外航空会社では、タイ航空やエミレーツ航空などが日本線にA380を投入しています。
ただ、最近はA380は退潮傾向です。今後はあまり姿を見られなくなるかも知れません。
エアバスA340
エアバス社の長距離路線用の大型機です。ボーイング747に対抗する機種ですが、747よりは一回り小さく、2階建てでもありません。通路が2つある「ワイドボディ機」です。
「A340-200」「A340-300」「A340-500」「A340-600」の4タイプがあります。「200」と「300」が第一世代、「500」と「600」が第二世代です。最も大きい「A340-660」では、最大440席が設けられます。
すでに生産を終了しており、日本の航空会社での採用はありません。ヨーロッパの航空会社で多く導入されました。
エアバスA330
エアバス社の中短距離路線用の大型機です。ボーイング767の対抗機種で、1000機以上が製造されています。
機内に通路が2本ある「ワイドボディ機」で、定員は300名程度。旅客機には「A330-200」と「A330-300」の2タイプがあり、「300」が胴長です。
日本の航空会社ではスカイマークが「A330-300」を初めて導入しましたが、経営危機により就航開始から7か月半後に運航を終了しました。ヨーロッパ、アジアでは幅広く投入されており、日本にも海外航空会社の機体が乗り入れています。
エンブラエル E-JET
ブラジルのエンブラエル社が製造している小型ジェット機です。第一世代としては「エンブラエル170」(78席)、「エンブラエル175」(86席)、「エンブラエル190」(104席)、「エンブラエル195」(110席)の4タイプがあります。
「E-Jet E2」という第二世代の導入が進められていて、「E175-E2」(88席)、「E190-E2」(106席)、「E195-E2」(132席)の3タイプがあります。
中央に通路がある「単通路機」で、シートは左右に2席ずつ配置されています。
日本ではJAL系列が「170」と「190」を導入しているほか、フジドリームスエアラインが「170」と「175」を使用しています。ANAも次世代機の「E190-E2」を導入する予定を発表しています。
ボンバルディアCRJ
カナダボンバルディア社の小型ジェット機です。座席数は50~100席程度です。「CRJ100/200」「CRJ700/550」「CRJ900」「CRJ1000」の4タイプがあります。世界的には広く使用されている機材で、日本でもJAL系列やアイベックスエアラインなどが使用しています。
DHC-8
デ・ハビランド・カナダ社が開発した小型プロペラ機(ターボプロップ機)です。定員は40~80人程度の小型機です。
おもに「DHC-8-Q200」「DHC-8-Q300」「DHC-8-Q400」の3タイプがあり、数字が大きいほど機体も大きくなります。
日本では、JAL、ANA系列の航空会社が、地方路線や離島路線などで運航しています。
ATR-42
欧州の航空機メーカーが開発した小型プロペラ機(ターボプロップ機)です。定員は40~50席程度の小型機です。
「ATR 42-200」から「ATR 42-600」まで、6タイプがありますが、日本では天草エアラインと日本エアコミューター、北海道エアシステム、オリエンタルエアブリッジ、トキエアが「ATR42-600」を導入しています。主に離島などのコミューター路線で使用されています。
「単通路機」で、シート配列は2列ずつです。

画像:JALニュースリリース