飛行機の普通席とは、基本的な運賃で乗ることのできる座席です。エコノミーシートともいいます。シートピッチ(座席間隔)は狭く、リクライニング角度も浅いですが、標準的な体型の人が座るには十分な広さや快適性があります。
普通席のシートには航空各社でそれほど大きな違いはありません。ただ、航空会社や機材によって、シートピッチや座席幅を狭くして、詰め込んでいることもあります。違いについて説明しましょう。
普通席のシートピッチは?
国内線普通席の標準的なシートピッチ(前後間隔)は79cm(31インチ)程度です。機種によって若干差異はありますが、JALやANA、スカイマーク、エアドゥ、ソラシドエアの普通席では、この79cm席が基本的に使用されています。
格安航空会社LCCでは、71~74cm(28~29インチ)くらいに設定されています。一方、スターフライヤーは86cm(34インチ)と、普通席としては破格の広さです。

画像:スターフライヤーのウェブサイト
シートピッチが同じでも、座席の厚さが薄ければ乗客の足元の幅は広がります。
たとえば、JALは2014年に投入した新シート「SKY NEXT」で、シートピッチは変えずに「ひざまわりのスペースを現行座席から最大約5cm拡大」したとしています。
JALに限らず、最近の航空各社の新機材は、座席の形状を工夫してシートピッチを広げています。

画像:JALウェブサイト
シートピッチの狭いLCCも、膝が当たる付近が薄くなるシートを採用していることが多く、膝まわりはそれほど窮屈ではありません。
国際線機材でも79cm(31インチ)が標準ですが、JALやANAの一部最新機種では、86cm(34インチ)のシートピッチを採用しています。
普通席のシート幅は?
普通席の標準的な座席幅(シート幅)は、41cm~45cm(16インチ~17.5インチ)程度です。機種によって違いがあり、航空機メーカーでは、標準の座席列を定め、それにあわせた幅の座席を用意しています。
ただ、航空機メーカーの標準仕様よりも、多く座席を詰め込んでいる航空会社も少なくありません。たとえば、以下のような事例があります。
・B777の横10列(標準は9列)
・B787の横9列 (標準は8列)
・A330の横9列 (標準は8列)
・A350の横10列(標準は9列)
代表的な例でいえば、かつて大手航空会社のボーイング777は横9列でしたが、後に10列が主流になりました。ボーイング787も当初は8列が多かったですが、現在は9列が主流です。
当然、座席の列が少ない方が、一人当たりの横幅が広いので快適です。
日本国内線の場合、航空会社は、機材がデビューした頃は標準の列数を採用し、ゆったりした配置で快適性をアピールする傾向があります。斬新さが薄れた頃に、詰め込み型に変更するというわけです。

ANA787の初期シート。当時は横8列だった
国内線と国際線で列数が変わることも
国内線は詰め込みにして、国際線は標準列にする場合もあります。JALでは、ボーイング787で、国内線と国際線で列数が異なる機種があります。
【JAL】
787…国内線9列、国際線8列
777…国際線9列
767…国内線・国際線7列
737…国内線・国際線6列
A350…国内線・国際線9列
【ANA】
787…国内線・国際線9列
777…国内線・国際線10列
767…国内線・国際線7列
737…国内線・国際線6列
A321…国内線・国際線6列
787の国際線用機材の場合、JALは8列、ANAは9列なので、JALのほうがゆったりしています。777の国際線機材もJAL9列、ANA10列と違いがあります(JALの777国内線機材は10列でしたが、退役済み)。
当然、JALのほうが快適に旅行できます。そのぶん、JALのほうが、若干運賃が高めになっていることが多いようです。
普通席のリクライニング角度は?
普通席の標準的なリクライニング角度は103度から110度程度です。機材や航空会社によって異なります。上級席と違い、普通席のリクライニング角度はほとんどPRされませんので、機材や航空会社ごとの詳細なデータはわかりません。
普通席のリクライニングは「倒すと後席の迷惑になるので、倒さないのがマナー」と考える人もいます。座席のリクライニングでトラブルが生じることすらあり、最近は、国内線ではあまり使われなくなってきました。
そうした事情もあり、日本の航空会社の機材では、リクライニングなしの位置を深めに設定して、角度の変動を小さくしているものもあります。ピーチの一部機材では、角度105度で固定されていて、リクライニングできません。
電源が付いている座席は?
最近の機材は、どの航空会社でも、普通席にUSBかコンセントの電源が設置されていることが多いです。
ただ、古い機材では設置されていないこともあります。航空会社による違いよりも、機材の新しさによって、電源の有無が決まります。
モニターが付いている座席も
JAL、ANAの新型機材では、国内線でもモニターが付いています。古い機材では、モニターはありません。JALではA350型機、ANAではボーイング787-10型機で全座席モニター付きです。
国際線は、大手航空会社なら、古い機材でもモニターが付いていることが多いです。
座席モニターは、LCCとの差異化の象徴になっている側面があり、最近の大手航空会社の新シートでは装備する傾向があるようです。
スカイマークなどの中堅航空会社や、格安航空会社LCCでは、座席モニターは付いていないことが多いです。